2024年6月に開業した「東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル」。
新エリア直結という特別なロケーションを持つこのホテルに、開業初月に宿泊することができました。この記事では、宿泊者として実際に体験したホテルの空間設計や物語性、客室の様子、そして専用エントランスや宿泊特典の実際の使い心地などを、写真とあわせて振り返ります。
- 東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルとは?
- どうやって予約をとった?
- ホテル全体のコンセプトとデザイン
- 客室:パークの余韻を楽しめるゲストルーム
- 宿泊特典と優遇ポイント
- グランドシャトーに泊まった方がいい?
- 最新型ディズニーホテルの現在地を見た
東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルとは?
2024年6月6日に開業した国内6番目のディズニーホテル。TDRの駐車場から魔法のように湧き出てきた…わけではなく長い年月を経て完成しました。リゾートラインからずっと工事風景を眺めていただけに、感慨深いものがありますね!



東京ディズニーシー・ホテルミラコスタに次ぐパーク一体型ホテルで、専用エントランスから直接パークにアクセスできるのも大きな特徴です。
それだけでなく、
- グランドシャトー(ラグジュアリータイプ)
- ファンタジーシャトー(デラックスタイプ)
の2つのカテゴリを内包するハイブリッド型のホテルであり、ディズニーホテルとしてはかなり挑戦的な部分もあります。また、パーク体験を重視したいというゲストの傾向を尊重し、婚礼施設やプール、バーなど一般的なラグジュアリーホテルや既存のディズニーホテルにあるような施設は用意されていません。

このホテルの背景や狙いを詳しく知りたい場合は多分この本を読むのが一番早いです。なんでプールがないのかとかも全部書いてあります。
どうやって予約をとった?
公式予約サイトでは全然予約が取れずあきらめかけていたところ、JTBの宿泊枠で開業月の土曜泊を予約することができました。意外と穴場だったのかもしれません。旅行会社経由で予約できるのは限られた客室タイプのみですが、部屋のタイプに強いこだわりはなかったので問題なし。
ファンタジースプリングスホテル ファンタジーシャトーの客室タイプは以下の4つ。
- エントランスサイド
- ベイエリアサイド
- ローズコートサイド
- スプリングスサイド
今回はそのうちのエントランスサイドのお部屋を予約しました。
ホテル全体のコンセプトとデザイン
「ファンタジースプリングス」と一体となったストーリー
ディズニーホテルらしく、ホテルにはしっかりとした“物語”が設定されています。

時は流れ、ある日、旅と冒険を愛する“ダッチェス”と呼ばれるひとりの女性が、この美しい魔法の泉にやって来ました。彼女が、泉から湧き出る水や川の流れをたどって進んでいくと、そこにはさまざまな物語の世界が広がっていました。 魔法の泉に魅了された彼女は、その近くに別荘を建てましたが、やがて、より多くの友人たちとこの物語の世界をわかちあうために、大きな屋敷を建てました。 いまでも、泉から流れ出る小川をたどっていけば、さまざまな物語の世界を訪れることができるでしょう。
出典:東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル

館内に飾られているタペストリーの女性がダッチェスでしょうか。別荘=グランドシャトー?大きな屋敷=ファンタジーシャトー?
最近の舞浜はオリジナルの女性キャラクターを出そうとするとみんなうっすらカメリア・ファルコ風味になりがちですね。もう少しいろんな方向性のキャラクターを出してほしいところです。
外観の印象:可愛らしくも好みが分かれそう?
第一印象としてはかなり「可愛い、優しい」デザインだと感じました。四角いシルエットと相まって、イタリアのお菓子カッサータを連想しました。ただ、コンセプトアートで期待していたものとは違ったかな。特に薄いピンクのカラーリングと曇り空との相性が難しいと思います。

パーク側から見たグランドシャトー棟はさすがに気合が入っている感じがしました。取ってつけたような手書きの植物は無い方が好きですね。

エントランス~ロビー:優雅で繊細な雰囲気


繊細で自然豊かな雰囲気がただよっていてお洒落。グランパラディラウンジは天井も含めて圧巻でした。ホテルとしてもここはイチオシ撮影スポットらしく、記念写真をおすすめされました。

写真で見たときはあまりピンとこなかった壁の装飾も、実物をよくよく見たら透明な素材が透き通って輝いていてこだわりを感じました。


グランパラディラウンジを右に行くとグランドシャトー、左に行くとファンタジーシャトーです。今回はファンタジーシャトーに宿泊なので、こちらのチェックインカウンターでチェックインしました。
廊下・階段:シンプルさと独特な演出?


廊下は若干殺風景な感じがします。正面階段は手すりと曲線がカッコ良いですね。ウェディングフォトにぴったりです。このホテルに婚礼施設がないのが悔やまれます。

ここの青い空間だけは正直よく分からなかった。いろいろ思案した結果、青色で泉の水を表現しているのでは???というところに着地しましたが、なんか演出が尖りすぎてる。いきなりサイバー空間みたいな場所に放り込まれても困ります。
装飾の数々



ハーブライマンのコンセプトアートをアレンジしたこちらの絵は必見。グランパラディラウンジの入り口付近に飾ってあります。そういえばもともとはTDR40周年記念で制作されたんでした。


ファンタジーシャトー棟に向かう途中にある2つの装飾物。豪華なものではありますが、トータルの空間としては殺風景すぎて心配になりました。どうしてこうなった。
私の地元につぶれかけの閑散としたショッピングモールがあるのですが、空きテナントのスペースを適当な鉢植えとかオブジェで埋めるんですよね。でも一向ににぎやかな感じはしなくて、ただ殺風景な空間がそこに広がるばかり。それと似た空気を感じました。上質なホテルの静謐さとはまた違う、残念な静けさでした。
客室:パークの余韻を楽しめるゲストルーム
今回宿泊したのはファンタジーシャトー エントランスサイド5階、5409号室です。
基本的な客室レイアウトは既存のディズニーホテルを踏襲した形式です。巨大なテレビボードも健在!!さすがにそろそろ薄型壁掛けテレビタイプのお部屋もあってもいいと思うんですけどね。あれがないだけでだいぶスペースが空く。


植物やナチュラルなデザインの家具で統一されています。それ以外にも様々なディズニーキャラクターの姿が隠れていて、意外な作品のキャラクターも。逆にミッキーはあまりいなかったですね。

アルコーヴにはラプンツェルの絵がありました。さすがファンタジースプリングスのアトラクションキャラクター。パークでの思い出の続きを客室で楽しめるのはすごく良いなと思いました。


ファンタジースプリングスホテルは随所に曲線デザインを取り入れているのですが、引き出し一つにもこだわりが見えてよかったです。アメニティも可愛い。

部屋からの眺望はこんな感じです。エントランスサイドの名前の通りエントランスを眺めながら過ごすお部屋でした。もう少し高層階だとエントランスサイドでもパーク内が見えるお部屋もあるみたいですね。
宿泊特典と優遇ポイント
ファンタジースプリングス・エントランスを使用したパークの入退園
ファンタジースプリングスで楽しむなら、専用ゲートはかなり便利でした。特に閉園間際にギリギリまでファンタジースプリングスを楽しんだ後、さっと退園できるのが本当に助かる。1日の最後にFSからエントランスまで20分近く歩くの相当しんどいですからね。頼みの綱のトランジットスチーマーラインも最後の方の時間帯はやってないことも多いですし。
また、こちらのゲートから入ると泉が正面で出迎えてくれるような形になるので、ファンタジースプリングスの物語が華々しく始まる感じがして素敵でした。全体的にこちらのエントランスの方が正面玄関ぽさがあるように感じます。
そんな便利なファンタジースプリングス・エントランスですが2025年6月1日からトイストーリーホテルの宿泊者も一部条件付きで利用できるようになったようです。
東京ディズニーシーへご入園および再入園する際、下記詳細のとおり、朝10:00よりファンタジースプリングス・エントランスをご利用いただけます。なお、退園は終日ご利用可能です。
入園および再入園可能時間:朝10:00~パーク閉園時間まで
出典:東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル
個人的には退園に関しては全ゲストに開放したらいいんじゃないかと思いますけどね。
1デーパスポート:ファンタジースプリングス・マジックの購入
こちらもかなり大きな特典でした。実際私が宿泊を決めたのもファンタジースプリングスマジックを購入したかったからです。ただ、残念ながら2025年3月をもって廃止となりました。
宿泊者だけが見られるロックワーク
ローズコートガーデンには美女と野獣、エントランスの脇にはミッキーの巨人退治のロックワークが設置されています。以前テレビで制作風景に密着しているのを見ましたが、想像以上に大変な作業のようでした。水と光と岩の素材のバランスって難しいんですね。
ただ、ローズコートガーデンは予想よりかなり狭く、ちょっとしょぼいなと感じてしまったのも事実です。ロックワーク付近に若干通路があるものの行き止まりで回遊できるようになっていないのもがっかりポイントでした。散策させてよ!
ランドホテルの方に宿泊者専用のシャーウッドガーデンという立派な庭園があるだけに、どうしても比べてしまうし、比べるとあまりにも微妙な出来なのでがっかりでした。美女と野獣のモチーフに合わせてバラが植えられているのですが、バラの盛りの時期以外はお花が少ないのもちょっとな…。季節ごとにプラスアルファのお花があると良いのですが。
逆に通常のディズニーホテルにはある施設がない
冒頭に記載したように、パークを楽しみたいというゲストの傾向を尊重し、婚礼施設、プール、バーなど一般的なホテルに備えられている施設はありません。ついてにお土産屋さんもありません。設計思想がとがりすぎている。特にお土産屋さんがない(厳密にはホテル内からアクセスする方法がない)のは皆さんかなり困っているんじゃないでしょうか?館内のあちこちにある謎スペースに簡易ワゴンでも出して、何かしら買えるようにすればいいのに。
グランドシャトーに泊まった方がいい?
以下に当てはまる方は検討してみてもいいんじゃないでしょうか。そうじゃなければファンタジーシャトーで十分楽しめると思います。
- ラ・リベリュールに行きたい(ミッキーとのグリーティングをしたい)
- 眺望が良い部屋がいい
- 広い部屋がいい
- グランドシャトーゲートを使いたい
- キャストさんとの交流も重視したい
私はこの辺あまり優先度が高くないので多分泊まることはないと思います。正直事前に要望をメールでやり取りするのとか面倒くさそうだなと思ってしまったので多分向いてないw



また、眺望に関してはロビー横に宿泊者なら誰でも行けるテラスがあります。そこからパーク内を眺められるので、眺望の良い部屋じゃなくてもテラスを活用するのも手だと思います。
最新型ディズニーホテルの現在地を見た
長い年月をかけて建設が進められてきた、ファンタジースプリングスホテル。リゾートラインから何度も工事の様子を見てきた身としては、こうして無事に完成し、実際に宿泊できたこと自体にひとつの区切りを感じました。
ホテルとしての完成度を振り返ると、ディズニーホテルらしい物語性や世界観の作り込みにはさすがだと感じる部分が多くありました。特にグランパラディラウンジ周辺の美しさは唯一無二だと思います。
一方で、空間構成や装飾の一部に関しては、やや意図が読みづらかったり、演出が単調に感じられる箇所もありました。細部に対する期待が高かったからこそ、そういった部分はどうしても目に留まります。
また、このホテルの基本方針として見受けられる「ゲストはあくまでパーク体験を主目的とし、ホテル内施設の充実度は抑えてよい」といった設計思想についても、少し立ち止まって考えたくなります。
確かに、ファンタジースプリングスという新エリアと直結している強みは揺るぎない一方で、宿泊者がホテルそのものに求める滞在価値、たとえばエンタメ性、遊びの余白、多様な過ごし方の選択肢などは、もう少し丁寧に拾われてもよかったのではないかという印象を持ちました。(グランドシャトーだとこのあたりはもう少し補完されているのかもしれないですね)
最新型ディズニーホテルとしては相応の完成度があり、パークとのシームレスな接続や没入感という点でも一見の価値はあると思います。ただその一方で「パーク体験を重視するディズニーホテル」という割り切りが宿泊体験の豊かさをどこかで制限しているように見え、そこがどうにももったいなく感じられました。魔法の泉をテーマにしたホテルのプールがどんなものになるか見てみたかったな。

