2025年3月期決算と長期経営戦略雑感 /株主優待追加、刷新構想、そして注目のコンセプトアートの行方

オリエンタルランド2025年3月期 通期決算発表と2035長期経営戦略の雑感です。

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突然の「詫びパスポート」

2025年3月期の通期決算発表に合わせて、オリエンタルランドが株主向けに「特別株主優待」を実施するとのこと。通常の株主優待とは別枠で、条件を満たす株主に1枚配布されるそうです。世間的には優待廃止の動きもある中、唐突な、しかもわりと中途半端な65周年記念という名目の優待パスポート追加は株価への焦りの表れなのかもしれません。

配当金をどうこうではなく追加パスポートというところが個性が出て面白いですね。決算資料の中に株主優待パスポートでの入園増の記載がありましたが、昨年度はちょうど40周年長期優待特典の年で、5年ホールドしていた株主には追加で4枚パスポートが配布されていました。株価、入園者数、園内での消費すべてにプラスに働くと考えるとまあまあコスパがいい施策なのかもしれません。いっそ今回のコンセプトアートを配布パスポートの券面に採用したら、ちょっとしたコレクターズアイテムになってさらに買い手がつくかも?(少なくとも私は欲しいです。)

"イメージ"を共有するということ

今回の中期経営計画や資料では、「イメージ」という言葉が多用されていました。クルーズがいかに売上に寄与するかのグラフとかすごいですよね。こんなにイメージオンリーのグラフ久しぶりに見ました。縦軸に単位の記載がない恐ろしくざっくりしたグラフを資料に載せるのは、ある意味で「この資料は気楽に読んでね!」というメッセージなのかもしれません。

また、2枚のコンセプトアートには「テーマパークのエリア刷新の構想イメージ」という説明が添えられています。「お伝えできる確定事項が何もない!!とにかく頑張ります!!!!」というイメージを絵に起こすとこういう感じになるんですね。解説資料でも期待感の醸成のための資料として紹介されていたので個々の項目というよりは意気込みを感じ取っていきましょう。

ただ、全体的に読んでいてイメージは伝わってくるし、輝かしいゴールを目指しているのはわかったけれども、そこの実現可能性がどれくらいあるのか具体的な道筋が出てこないことにはなんとも言えないなと思いました。足元のプロジェクトの工事費が高騰している中で、クルーズ2隻目、テーマランド・テーマポート単位での再開発、新規ディズニーホテルの検討とか本当に全部やりきれるのか?みたいな話もありますし。それもあってか質疑応答はより詳細なところを突っ込みに行く質問も多かったですね。

結局アトラクションはどうなるの?

ジャングルクルーズとリバ鉄みたいなゲスト大量収容型アトラクションを両方同時にクローズさせるのはパーク上限人数との兼ね合いで無理なんじゃないですか。テクニカルにはできるけど、その分入場者数と売り上げが許容水準を割りそうです。かつての大規模再開発時のグランドサーキットレースウェイは面積の割に収容人数が少なかったため、クローズしてもパーク全体への影響は限定的でしたが、アドベンチャーランドでもし多重クローズをするとしたらより重大な影響が出るはず。

このタイミングでクローズをにおわせるアートを出す意味をあえて深読みするのであれば制作側でも今後どうするか割れていて、クローズ中止に持っていくための「お客様の声」がほしいという観測気球的な意味合いはあるかもしれないですね。和太鼓を響かせましょう。

コンセプトアート内では様々な作品の要素っぽいものがちらほらありましたが、まだ何も決まっていない、ただ検討のテーブルには上がっているという雰囲気。そしてあえて「描かれていないもの」に目を向けると、この作品群の中にズートピアがなかったのが個人的にはとても気になっていています。作品の認知度、パークでの推され方からしてこの作品が来ないことはまずないはずなので、アドベンチャーランド開発の検討作品に入っていないなら別プロジェクトがすでに決まって動いているのかな、と思いました。

入園者数の現実と投資判断

ファンタジースプリングスという大規模開発を経ても、入園者数の伸びはわずか5万人程度。こうした現実を見ると、今回提示されたような大規模なエリア刷新にどこまでコストを投下するのかは難しい舵取りになってくるんじゃないでしょうか。トゥモローランドの開発(スペースマウンテン、シュガーラッシュ)がひと段落する2027~ディズニークルーズがスタートする2028年度くらいまではあまり身動きとれなさそうですね。

また、長期計画には常に不確定要素がつきものです。構想を練っているうちに、既存施設の老朽化が進んだり、予期せぬインシデントによって緊急リニューアルが発生したりと、リソースがそちらに吸われてしまうことも珍しくありません(天井が落下したプラザレストランの方を見ながら)。できることなら、想定外のトラブルに邪魔されることなく、今回示された“イメージ”が一つひとつ形になっていくことを願っています。